これは2人のバカなライダーが人の話をちゃんと聞かず、勝手に都合のいい解釈をした為に起こった、間抜けなお話しです。 フェリーに乗る時には必ず出港1時間前にはフェリー乗り場に到着する様にしましょう。 (説得力全く無し。) |
毎年GWの恒例行事になっている奄美大島方面へのキャンプツーリング。 沖縄・奄美方面には無数の島々があって、いつもどの島へ行こうかと迷ってしまう。
南の島は何と言ってもGWからあの青い海で泳げる所が最高だ! 奄美方面へ渡る時には、大阪か神戸から夜発のフェリーで翌朝九州へ降り立ち、 九州で少し遊んで鹿児島港から夕方発のフェリーで奄美方面へと向かう。 どちらのフェリーも夜寝ている間に次の目的地に着くので非常に効率がよい。 |
仕事を終えてから港へ。 | 夜、神戸港発のフェリーで九州へと向かう。 |
翌朝には九州 別府港に着く。 寝てる間に着いているという寸法だ。 |
「今年は奄美大島で降りて、加計呂麻島へ渡ろうかな。」 「おいらは奄美大島を越えて与論島まで行くよ。」 神戸発−別府行きのフェリーの中でツーリング仲間のレインマン(仮名)と今回の旅の相談をする。 仲間と言っても別にずっと一緒に行動する訳ではない。 お互い行きたい所があれば別行動で、行き先が同じだったら一緒に走る。 キャンプ場だけ決めおいて現地集合・現地解散もしばしば。 元々2人共ソロライダーなのでその方が気が楽なのだ。 まあ、こいつと居ると別に気を使う事は無いんだけどね。(笑) |
海を進むフェリー。 | フェリーの中は退屈。 | 海はいいねぇ。 |
「ところで奄美行きのフェリーって、鹿児島港を何時に出港するんだったっけ?」 「知らないよ。 他のライダーに聞いてみようか。」 フェリーの中で一緒だったライダーに尋ねてみる事にする。 「確か夕方の 6時頃 だったと思いますよ。」 名も知らないライダーは親切に答えてくれた。 「そう言えば、いつも西鹿児島駅でさつま揚げとお弁当を買ってから乗ってるじゃん。」 「そっか、そっか。 だったら 6時頃 で間違い無いよね。」 能天気な2人はフェリーの正確な時間も調べないままに、別府港からバイクを南へと走らせるのであった。 |
翌朝、九州別府港に到着。 |
フェリーで一緒だった親切なライダーと 別れて、南へと向かう。 |
僕はバイクで林道を走るのは苦手だが、レインマン(仮名)は大の林道好き。 雨が降っていても林道へ行こうと言い出す始末だ。 別府から鹿児島へと向かう道中でも林道があればそちらへフラフラと入って行く。 フラットなダートや荒れた路面、林道苦手のおいらに少し気を使って、あまりハードな所は通らない様にルートを選んでくれているが、林道には何が待っているか分からない。 長い林道の途中で運悪く崖崩れで道路が無くなっている箇所に遭遇してしまった。 と言っても通行止めの看板を無視して入ったのが原因なのだが、何事も自分の目で確かめてみないと納得しないのがバイク乗りの性分なのだ。 しばし相談の結果、林道を戻っている時間がもったいないので、バイクを押して通過する事に決定。 安全の為、2人で1台ずつのバイクを押して何とか通過する。 「ふう。 何とかなったな。」 「やばかったねぇ。」 |
景色のいい林道で一休み。 |
この林道は先が無くなって いたのであえなく撤退。 |
崖崩れで轍1つ分しか道が無い。 下手したら落ちる所だった...。 |
何だかんだ言いながら林道を走っていると段々日が傾いてきた。 そろそろ林道は終わりにして高速道路に乗って鹿児島港へと向かう。 「時間が無くなってきたなぁ。 フェリー何時だったっけ?」 「確か 6時過ぎ って言ってなかった? 西鹿児島駅には 6時前 には着けるよ。 」 「じゃあいつもの様にさつま揚げとお弁当を買う時間はあるよな。」 高速道路をひたすら走って、5時35分に西鹿児島駅に到着。 駅ビルでいつもの様にさつま揚げとお弁当を買ってバイクに戻ると5時50分。 「フェリー乗り場まで10分位だから、そろそろいい時間だね。 フェリーの正確な時間って知ってる?」 「6時過ぎ だから 6時30分位 じゃないの? フェリーのパンフレット見てみるよ。」 背中に背負ったDバッグの中から奄美行きフェリーの時刻表を取り出して確認する。 ”鹿児島港発 6時 00分・・・・・?!” 「やばいっ!!」 |
こいつがレインマン(仮名)だ。 | フェリー乗り場へ急げ!! |
2人とも大あわてでバイクに飛び乗り、キック一発でエンジン始動。 鹿児島の市街地をフェリー乗り場へ向かって無我夢中でバイクを飛ばす。
所々で信号待ちに捕まり、フェリー乗り場がどっちだとか、あーでもない、こーでもないと2人で大声で喚き合いながら街中をすっ飛ばす。 あれこれ考えている暇の無いまま、鹿児島港に到着。 船はまだいるのか? 不安になりながらチケット売り場に駆け込み、受付のおねえさんに恐る恐る聞いてみる。 「あのぉ、奄美航路の船は・・・」 「今日の便ですか!? もう出たかも知れませんけど、とりあず船の方へすぐに行って、チケットは中で買って下さい! とにかく急いで!!」 チケット売り場のおねえさんに急かされるままバイクに戻り、チケット売り場の裏手にあるフェリー乗り場へと急発進する。 おっ!船はまだいるぞ!! 船に近づくと丁度車両甲板入り口のタラップを上げようとしている所だ! |
「兄ちゃん切符わぁ?」 「切符は中で買いまぁーす!!」 |
何とか車両甲板に滑り込む。 | そのままフェリーは出港するのであった。 | バイクを固定してもらって一安心。 |
間一髪、甲板のタラップを上げる寸前に、2台のバイクは車両甲板に滑り込んだ! 「ふう、何とか間に合った。 助かったぁ.....。」 今までの焦り、緊張感から解き放たれ、安堵の気持ちが湧き出てくる。思わずその場に座り込む。 「あれ? レインマンは・・・。 あぁ、あっちの方か。」 向こうで彼の陽気な声が聞こえる。 予定外のバイクが2台飛び乗ったので、それぞれ別の場所にバイクを置く事になったのだ。 バイクをロープで固定している作業員のおじさんの声も聞こえるぞ。 「兄ちゃんらどこまでね?」 「おいらは与論島まで。」 「分かった、与論島までバイク 2台 追加ぁ!」 |