2003年7月号

「シーズンオフの富士山に登る」



標高3776m。 日本一高い山 『富士山』。 日本人だったら誰もが一度は登ってみたいと思うのではないでしょうか?

実は僕もその内の一人でした。 最初に登ってみたいなぁと思ったのはバイクツーリングを始めた頃。 どこへでも僕を連れて行ってくれるバイクと出会って、 紀伊半島一周の次に思い立った2度目のロングツーリング。 未知の世界にわくわくしていた頃の事です。


一番最初に登った時は、それはもう滅茶苦茶しんどかったです。 それまで山登りなんて一度もした事が無かったのですから当然の事。 登るペースも分からず、汗だくでふらふらになりながらも山頂までたどり着いた時の達成感は今でも忘れられません。

そして富士山に登る事、早8回。 それも全てシーズンオフの9月か10月。 いつの間にか、ほぼ年中行事になってしまいました。


富士山の登り方については他の方のホームページここが詳しいです。)に任せるとして、なぜ僕がシーズンオフの富士山が好きなのか。 それはやっぱり 人が少ない からです。

富士山が山開きされているのは7月と8月。 この期間には各所の山小屋が開いていて、山頂には売店、簡易郵便局があり、神社も開いています。 五合目の売店で木製の杖を買って、各山小屋で焼印を押してもらい、山頂から友人に絵葉書を送る、なんていう楽しみ方もあるのですが、シーズン中の富士山は人でいっぱい。 登山者の列は富士山渋滞と呼ばれる程だそうです。

でも9月、10月の富士山は人は少なく、自分のペースで登る事が出来ます。 時々降りてくる人と軽く挨拶を交したり、立ち止まって眼下に広がる景色や雲を眺めたり、腰を下ろして持ってきたおにぎりをほおばったり、沸点の低いお湯でコーヒーを作ってみたり。 そして時々、自分の周りには人が誰も見えなくなって、風の音以外は何も聞こえない静かな世界に入り込んでしまったり。
(本当に人がいない場合と、霧の中に入ってしまって周りが見えない場合がありますが...。)

そういう所が気に入っています。



富士山に登ってみる



富士宮口から


河口湖口から

須走口から


火口(お鉢めぐり)

富士山測候所


御来光を見る



※ シーズンオフに登る時の注意 ※

●時期について
 ・天候が悪い時には絶対登らない事。
 ・山の天気は変わりやすいので、甘く見ない事。
 ※僕の場合、9月の敬老の日,秋分の日,10月の体育の日の近辺で何度か登っていますが、
  体育の日が一番晴れる確立が高いです。 さすがは晴れの特異日!

●装備について
 ・山小屋,売店が閉まっているので、水,食料は自分で用意。
 ・カッパは必要。 寒い時には防寒具にもなります。
 ・靴は履き慣れた物を。 サンダルでは無理です。
 ・雲の上は紫外線がきついので帽子やサングラスはあった方がいいかも。
 ・太陽が出ていないと寒いので、それなりの防寒装備を。

●施設について
 ・水が手に入りません。 トイレもありません。
 ・五合目より上の施設は全く使えないと思って下さい。
 ※富士宮口の売店、須走口の山小屋などは10月の体育の日くらいまでは開いているようです。
  でもあてにはしないで下さい。

●その他
 ・万全な体調で登って下さい。 風邪気味,睡眠不足は×。
 ・登りと下り、休憩の時間を考えて登って下さい。
 ※個人差はありますが、五合目から休憩を除いて登りが5〜7時間、下りが2〜3時間が目安です。
  下りは登りの約半分と考えて時間配分を計算して下さい。
 ・下山する時には思った以上に膝に負担がかかるので注意。
 ・無理だと思ったら途中で諦めるのも勇気。 再度チャレンジすればいいんです。
 ・「体がだるい」「眠い」「目がちかちか」「頭が痛い」などは高山病の症状です。
  体を慣らしながらゆっくりと登れば高山病になりにいのですが、高山病に
  なったら降りる(高度を下げる)しか治す方法はありません。
 ・山頂ではドコモの携帯電話のみ通話可能らしいです。
 ・
あくまでも自分の責任で登って下さい。



富士山な人達

自転車を担いで登る人。 山頂からブルドーザー用の
道を自転車で一気に駆け下りるのが目的だそうです。
積雪にもかかわらず七合目でテントを張る女性3人。
明朝、山頂まで登り、御来光を拝むんだってさ。
もちろん外人さんも登りに来ます。
片言の英語でコミュニケーション。
須走口の山小屋にいる二匹の犬。
大人しいし、ガイドもしてくれる賢い奴。
徹夜明けで登ってダウンしている人達。
富士山を甘く見てはいけません!
八合目で登頂を断念した女の子。
「荷物を持ってあげるから登ろう!」 と言ってみた
けど駄目でした。 高山病には勝てません。
御来光に備えて山頂でテントを張る人達。
多分夜は氷点下だぞぉ。 みんなようやるわ。




〜 そこに富士山があるから 〜

大地に映る富士山の影。 山頂から撮影。

本格的に山登りをする人の中には、富士山は登山道が整備され過ぎていて、山登りというよりハイキングだ、と言う人もいます。

確かにそうだけど、でもまあいいじゃない。 日本一の山なんだから。 無茶苦茶しんどいけれど山頂まで登りきった時の達成感は格別。 そして山頂からの眺めは最高。 (晴れていればだけどね。)

初めて関西圏から飛び出したツーリングという事で思い入れも深く、日常生活では得られない達成感。 と、あとは僕の意地。 バイクに乗り続ける限りは富士山にも毎年登り続ける事だろう。



ただ最後に一つだけ考えて欲しい。 この日本一の富士山が、
世界遺産に登録されなかった という事を。
その理由は単純、 ゴミが多いから だ。

登ってみると分かるのだが、ポテトチップの袋,空き缶,ペットボトル,
紙くずなどなど、沢山ではないが、所々で目に付いてしまう。

これでは日本一の富士山があまりにも情けないと思いませんか?

もしこれを読んで、富士山に登ってみよう! と思われた方は、
「日本一の山」 を 「日本一ゴミの多い山」 にしない様にお願いしたい。